目新しい真新しい旧い古い洋館の出来事<2>

●館の中の応接リビングにて●

 

クタブ:歳は、20代半ばとでも。マバス様の館の管理人です。それ以外は内緒で(笑):
の案内でまずリビング通される
ハーミ:20歳。女子大生です。:
ミルユュ:20歳。ハーミの親友。建築の勉強をしている女子大生よ。:
するとそこには既に、
何名かの人達がくつろいでいる様子。

 

クタブ「それでは、
お二人の長旅の疲れを癒す当館自慢の
フレッシュフルーツジュースをお持ちします。
皆様がお揃いになるまで、
今しばらくこちらでお寛ぎになられていてください。

 

そう言い残して優美に
立ち去る管理人・クタブ。

 

ボワン:男性。マバスの友人達の内の1人。ムードメーカー。28歳。:
やあ、君たち!
僕らとは初めましてだよね?」

 

ミルユュ
「えっ?!・・・ええ。
初めまして・・・。」

 

緊張の張りつめた顔で私を一瞥してから、
挨拶を返すミルユュ。

 

ソスタ:男性。マバスの友人達の内の1人。スポーツマン。29歳。
「初めまして。
僕はBの友人のソスタ。
そして彼はボワン。」

 

ボワン
「急に話しかけて少し驚かせて
しまったみたいで。ごめんね。」

 

ソスタ「ごめん。」

 

とても恐縮した表情で
私たちの顔を覗き込む
ワンとソスタ。

 

ハーミも内心戸惑いながら
慌てた仕草をしている。

 

ミルユュ
「お二人はマバス先輩のご友人の方々
なんですね!すみません。
この子が人見知りなもので
不愛想になってしまって。

 

おどけながらハーミを指さすミルユュ。

 

ハーミ(えっ???)

 

ミルユュ
「初めまして。ミルユュです。
よろしくお願いします!」

 

ハーミ「あ、わ、私は!」

 

急いで挨拶しようとするハーミを
制するように話を進めるミルユュ。

 

ミルユュ
「そしてこの子が私の親友のハーミです。
私たち二人ともマバス先輩の後輩なんです!」

 

ハーミ
「は、はい・・ハーミです。
よろしくお願いいたします。」

 

ミルユュ
「私たち全然驚いてなんかないですよ。
館に来たのが初めてで。
目にするもの全てが目新しくもあって。
心ここにあらずだっただけなんです、
きっと。
なんだか世間知らずみたいで恥ずかしいわ。
ねえ?ハーミ!?」

 

ハーミ
「そ、そうなんです。
こちらこそすみませんでした。
お気になさらないでください。」

 

ミルユュに合わせて笑顔を作って
見せるハーミ。

 

ソスタ
「そうか、安心したよ。」

 

ボワン
「うん、ほっとした、良かったよ。
それに、お二人とも、どっからどう見ても
れっきとした素敵なレディーだ。」

 

ソスタ
「その通り!これからも仲良くしてね!」

 

笑顔で立ち去ったボワンとソスタ。

 

クタブ「お待たせしました!」

 

美しいカットの散りばめられた
細長く背の高いグラスに注がれた
鮮やかなジュースをトレイに
載せて戻ってきたクタブ。

 

ハーミ
「ありがとうございます。
ちょうど管理人さんがいらっしゃらない間に
ボワンさん、ソスタさんと
お話させていただいてました。」

 

ミルユュ
「お二人とも紳士的な方々で。
楽しいバカンスになりそうです。」

 

クタブ
「そうですか。それは何よりでした!
まだ後数名のお客様がいらっしゃいますが、
皆様がご主人様のご友人でらっしゃって
素晴らしい方々ばかりです。
あ、そうだ。
あそこに座ってらっしゃるサトイウ様とも
お引き合わせを致しましょう。
どうぞこちらへ。」

 

クタブに促されるまま
リビングの真ん中の方へと
進むハーミとミルユュ。

 

クタブ
「サトイウ様。
マバスの大学の後輩でらっしゃる
レディーお二人をご紹介いたします。

 

手にしていたコーヒーカップを
静かに置いて、私達の方を
振り返るサトイウ。

 

サトイウ:52歳。建築会社の社長をしています。館のオーナーのマバス君とは懇意にしています。:
「これはこれは!
こんなに溌剌としてお若くてお美しい
お二人をご紹介いただけるなんて
光栄ですね。」

 

恭しく礼をして穏やかに
ほほ笑むサトイウ。

 

ミルユュ「そんな(照れ)・・・。」

 

ハーミ
「初めまして。私はハーミ。
そして友人のミルユュです。
よろしくお願い致します。」

 

ミルユュ
「ミルユュです。よろしくお願い致します。」

 

サトイウ
「初めまして。
私はマバス氏があなた方と同じくらいの
歳の頃から仲良くさせてもらっているサトイウです。
よろしくね。
まだ皆さんが揃われるまでには
少し時間があるようだ。
どうかな?ハーミさん、ミルユュさん。
海の見渡せる窓辺の席で私の無駄話に
付き合っては頂けますまいか?
いつもはクタブが付き合ってくれるのだが、
今日は特別忙しそうにしている・・・。」

 

ミルユュ「私たちでよろしければ是非♪」

 

ハーミ「はい。」

 

サトイウ「嬉しいね。ありがとう!」

 

それから4、5名の方が来て
全員が揃うまでの間、
私達3人は水平線に向かって落ちていく
夏の太陽ときらびやかな海原を
眺めながらのんびりとした時間を重ねた。

 

マバス:28歳。新進気鋭の若手デザイナーと周りからは言われてはいます。ハーミの大学の先輩です。:
「こんにちは。皆様お揃いの様ですね。」

 

マバスがいつの間にか
リビングに入って来ていて、
来客者へ向けての話を始めた。

 

マバス
「本日は遥々このような古いだけが
取り柄の館へご足労いただきまして
ありがとうございます。
今夜は当館の庭でBBQ。
明日は館前のプライベートビーチで
マリンスポーツでもお楽しみ頂けるように
用意をしております。
体力の許す限り、
心行くまで存分にお楽しみ下さい!」

 

拍手と歓声に包まれるリビング。

 

マバス
「では、今回はじめて当館へいらっしゃったお客様は、
ご宿泊いただく部屋へご案内させていただきます
。管理人のクタブの方から順次お声掛けをさせていただきますので、
お荷物を持って移動されてください。
それでは、
陽射しが落ち着きかける18時に庭へお越しください。
それまでは部屋でゆっくりと。
あ、
当館の中の探検はおすすめしません。
迷子になって戻って来れなくなっちゃう
かもしれませんよ・・・。笑」

 

サトイウ
「わっはっは(笑)
マバスさんの言うとおりだ。
こちらの館は古いだけが取り柄じゃない、
不思議も持ち合わせた館ですから、
あまりに散策を楽しむのは
おすすめしませんよ(笑)」

 

ミルユュと目を合わせて
ビックリしている様子のハーミ。

 

ハーミ
「えっ?・・・なんだか怖いわ、・・・私。」

 

サトイウ
「いやいや。
なにもヴァンパイアや狼男が
住んでいるわけでは御座いませんから!
そんなにも怖がることは無いですよ、
お嬢さん方。
この館もあなたがた人と同じ。
マバスさんの様に大事に礼儀を持って
接すれば何も怖いことなんてありません。
・・・でも無礼な詮索や扱いをすると・・・。
この館はそれを黙っては受け入れてくれない
かもしれませんねえ。」

 

ミルユュ
「いやだあ、サトイウさん!そ
んなこと言わないでくださいよお。。」

 

今にも泣きそうな表情のミルユュ。

 

ハーミ
「ミルユュは自分のお家のお部屋も
綺麗に出来ないくらいだから、
きっとこのお館にお説教を受けることに
なるわね(笑)」

 

ミルユュ
「なによハーミー!
そんな恥ずかしいこと言わないで!
このヴァカンスが終わって帰ったら
すぐにお部屋を掃除して、
ママのお手伝いも沢山しますから、
館さん許してくださーい。。」

 

ボワン
「大丈夫!
なにか起きても僕ら騎士が君のことを
守ってあげるから(笑)
お願いだから泣かないで子猫ちゃん♪(笑)

 

リビングが爆笑で包まれる。

 

サトイウ
「あれあれ。
少し脅かしすぎたかな。
すまないねレディー達(笑)」

 

マバス
「皆様!
せっかくのヴァカンスですから、
お互いにマナーを守って快適に楽しく
過ごしましょうね!
そしてこの老いぼれ館にも優しくしてあげて
くださいね。」

 

ミルユュ「はぁい・・・グスッ。」

 

少し馬鹿にもされて恥ずかしいやら
悔しいやらのミルユュが小さな子供の様にも
見えて、大きな笑いが収まらないままの
リビングなのだった。

 

 

●客室までの通路にて●

 

ミルユュ
「もう!ハーミったら、
さっきはなんであんな大勢の、
しかも初めてお会いする方がたの前で
私の恥ずかしい秘密を話したのよ。」

 

ふてくされて言うミルユュ。

 

ハーミ
「あら。
お部屋が散らかってるのは本当だったの?」

 

ミルユュ
「まあ!
白々しいったらありゃしない。
あなた、よーっく私のこと知ってるでしょ!」

 

ハーミ
「でも。
ママのお手伝いのことは勝手に
ミルユュが言ったのよ(笑)」

 

ミルユュ
「あ・・・そうだったわ・・・
でも!でも!!」

 

ハーミ
「それに素敵な騎士が助けに来てくれるって?!
良かったじゃないこと?」

ミルユュ
「それもそうね!
少し恥ずかしかったけど
許してあげるわ!!」

 

ハーミ
「まあ、
なんて身勝手な人なのかしら(笑)」

 

ミルユュ
「それが私よ!
よーっく私のこと知ってるハーミだから
分かっていたでしょ!」

 

ハーミ「もちろんよ!」

 

そして笑い合うハーミとミルユュ。

 

クタブ
「騎士さんが守ってくださっていることですし。
もしよろしければ。」

 

部屋まで案内するために、
私たちの前を歩いていた
管理人・クタブが振り向いて
話しかけてきた。

 

クタブ
「お荷物を部屋までお運びした後、
よろしければ少しこの館の中を
ご案内致しますが、いかがですか?
それよりもまだお疲れでしょうか?」

 

ミルユュ
「素敵♪ぜひお願いしたいわ!
ねえハーミ?」

 

クタブ
「そうね♪怖がりのミルユュでも
まだ明るい内は平気だもんね?笑」

 

ミルユュ
「あら!
私には騎士が付いてるんだから
いつでも平気なのよ。
よっぽど夜の方がロマンチックで
良いくらいだわ。」

 

ハーミ
「まあミルユュったら。
ロマンチストなんだか、
ただの強がりなんだか?!(笑」」

 

そうこうして歩いている内に、
ハーミとミルユュに割り当てられた
部屋の前に3人は着いた。
すると突然。
ハーミとミルユュのために
用意されている部屋のドアが
おもいっきり勢いよく開かれた。

♠続く♠


 

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・初回投稿:2017/09/10

・更新履歴:2017/10/04