目新しい真新しい旧い古い洋館の出来事<13>

●運命●

マヨス「あの二人の間に産まれた子が
俺につながっていくんだよ。」

ハーミ「え?あの女性、
あの男の人とほんとに一緒に暮らすの?」

マヨス「うん・・・。ポルンの敵を取るために
あの男を受け入れたんだって聞いてる。
自ら死を選ぶのは当然の事、
殺されるのも絶対に嫌だったんだってさ。」

ハーミ「そんな・・・嫌な話・・・」

マヨス「そうなんだよね。
俺だって、嫌悪でしかないよ。
あんな男の血を引いているなんて。
嫌で嫌で仕方がない。
でも別にあの館を憎んでいる訳ではないし、
俺は俺で楽しくやってるからいいんだよ。
それでなおさら、ススーがとっても可哀そうなんだ。
だからここでススーを俺は助けるために来た。
ススーがあの男を受け入れる前に、
俺があの男からススーを引き離して街へ連れていく!」

ハーミ「分かったわ!
その手助けを私はしたらいいのね!
作戦を教えて?」

マヨス「ありがとう。」

ハーミ「いいえ。
あなたって最初に会った時からさっきのさっきまで、
私を振り回すばっかりで嫌いになっちゃうんじゃないかって思った時も沢山あったけど、とっても素敵よ。
この作戦が上手くいったら、ほっぺにチューぐらいしてあげても良いわ(笑)」

マヨス「(笑)ありがとう!
でも、残念ながらチューはもらえないな。
この作戦が上手くいったら、俺はこの世から消えてしまう。
あの二人の間の子供が生まれないからね。
俺が生まれる理由が無くなるんだ。」

ハーミ「そうか・・・でも、
それでもススーさんをあなたは助けるっていうの?!
どうしてそこまで?」

マヨス「どうしてかな?!
あの男もそんな悪い奴じゃないってことじゃないか?(笑)
あの男の血を俺は引いてる訳だからな!(笑)」

ハーミ「ごめんなさい。私・・・もうこれ以上、
何も言葉が浮かばないわ・・・」

マヨス「君、やっぱり良いやつだな(笑)」

ハーミ「ありがとう・・・」

マヨス「よし!じゃあ俺は力ずくででも何が何でも、
あの男からススーを引き離す。
だから君はススーを連れて街へ飛んで行ってくれ。」

ハーミ「私、飛べないわ!」

マヨス「飛べる!俺の飛ぶ力を君にあげるから大丈夫だ!」

ハーミ「またこんな時までそんな適当なこと言って!」

マヨス「それはこっちのセリフだ!こんな時になってまで俺を疑うなよ!
君のポケットには古い飾りのついた鍵が入っているはずだ。」

ポケットの中を探るハーミ。

ハーミ「ほんとだ・・・
こっちの鍵はミルユュが持ってたはずなのに・・・・」

マヨス「昨日の夜、酔っぱらったミルユュから取り返して君のと付け替えておいたんだ。」

ハーミ「そういう抜け目の無いとこは流石ね。」

少し呆れた風に笑うハーミ。

マヨス「はいはい(笑)
そのカギ飾りを手に付けておけば空を飛べる!
わかったね?」

ハーミ「分かったわ。信じる!
でもね、この作戦が成功したらあなたが消えてしまうっていう話は信じないわよ。
絶対に!」

マヨス「勝手にしろ!じゃあ行くぞ!」

ハーミの目はマヨスの顔を最後にもう一度見つめ直そうとしたが、
マヨスはハーミの方を向いてはおらず、
もうマヨスの表情は分からなかった。

♠続く♠


< 第12話

第14話(最終話)>

まとめ読みはコチラから、”作品アーカイブページTOP”へ


・初回投稿:2018//