綺麗じゃない花もあるのよ(#14)

〈母〉

相手の身になればなる程に、「会いたい」という気持ちが麦畑で助走をしてから山野を駆け上って行く風の様に爽やかに流れて行くものだと高を括れていたのは、その彼は私の親でないのは然り、まだ彼と他人の関係だったからなのか。

“許せない冬”は「彼に対する私の勝手な抜き打ち試験がこの確認作業であったのだ。」と私に悟らせた。

「自分の考え方の事なのに、後になってそのロジックがようやく判ったりもするのだなあ。」

というのが私の中で最も重要な挙げ句の発見だった。

そしてその挙げ句でも消化されずに残っているのは1滴の悲しさで、その悲しさはオスミウムの様に重く後悔の様に痛くはのしかかってこないのだけれど、ぽっつんとしながら在り在りと私の五臓六腑のどれかの側面に今でもくっ付いたままで残っている。

「彼だってプチトマトを育てていたのであれば夏が終われば一度枯れるだろう」
「だとしても、また春に継げば再生して芽が出るから構わない」

と考えていたのに。実際に「枯れた」と言われた以上は、何を育てていたのか、どうして枯れたのか、なんかは気になり出した私でした。結局は想いが触媒となって私をどこまでも変異させていき、終わったことを言い出すキッカケを作った冬という言葉を嫌ったりする阿保もした。

「そんな私であることを彼ははなから感づいていたのかもしれない。」

母にその彼との話をここまでした時に母はふいに独り言ちた。

「不完全な部分を相手に見つけられてしまった時から、相手の不完全な部分を自分に曝け出してきた、とあなたは勘違いする様になるのよ。」

「構造の部分は暗くてよく見えないみたいな感じだけど、それで合っている気がするわ。たまにはお母さんもチマチマした発言をするのね。」

 

「いくつもの恋事を俯瞰してくれば、ミントが繁殖して多種の植物を追い出して最後にはミントが雑草になっていくのに似ていると勘付くものよ。」

 

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